国際会計基準IFRSと日本会計基準の違いとは?②


国際会計基準IFRSの基本を知ろう第2弾

前回はIFRSの採用している原則主義と日本の会計基準が採用している細則主義の違いをご紹介しました。

今回は貸借対照表重視か、損益計算書重視かの違いについてご紹介いたします。

IFRSと日本の会計基準の違い②

IFRSと日本の会計基準の違いは大まかに以下の3つに分けることができることができます。前回は1番の原則主義と細則主義についてご紹介しました。

1.原則主義と細則主義

2.貸借対照表重視と損益計算書重視

3.公正価値評価と取得原価価値評価

今回は2番について見ていくことにしましょう。

2.貸借対照表重視と損益計算書重視

2つめのIFRSと日本の会計基準の違いは、貸借対照表を重視するか損益計算書を重視するかの違いです。これは「利益」という概念の捉え方が異なることを示しています。

「資産負債アプローチ」…こちらは貸借対照表を重視した考え方で、資産と負債の差を「利益」として考えます。すなわち、企業のすべての財産をひっくるめて、そこからマイナスの要素を差し引いた純資産=「企業価値」を利益とします。

「収益費用アプローチ」…こちらは損益計算書を重視した考え方です。1年の収益と費用の差=当期純利益を「利益」と考えます。

IFRSでは「資産負債アプローチ」を採用しており、日本の会計基準では「収益費用アプローチ」を採用しています。

「資産負債アプローチ」と「収益費用アプローチ」の違いは?

日本の会計基準に特徴的な「収益費用アプローチ」とIFRSの「資産負債アプローチ」の違いはどこにあるのでしょうか。それぞれ損益計算書重視か貸借対照表重視かという違いは上記の通りで、基本的にはこの違いによるところが大きいです。他の違いについてもこの根本的な考えの違いに基づいています。

まず「収益費用アプローチ」は企業の収益力を明確にすることを目的としています。これは損益計算書的な考え方で、一会計期間に区切って算出される純利益によって企業がどれだけの利益獲得能力があるかを見ることができます。

対して「資産負債アプローチ」は企業の価値を明確にすることを目的としています。一会計期間での期首の残高と期末の残高を比較してどれだけ増加したかという企業の存続力、成長力があるかを見ることができます。

日本が「収益費用アプローチ」を採用していた理由

日本の会計基準が「収益費用アプローチ」を採用していた根底にあるのは、日本が成長経済にあったからという背景があります。戦後の日本は復興の時期を乗り越え、ものを作れば作るほど売れるというミクロ経済学的な成長経済が続いていたために存続、成長は当たり前、重要なのは1年でどれだけ利益を出したか、というところに株主や投資家が注目していたため「資産負債アプローチ」よりも「収益費用アプローチ」の方が適していたのです。

しかし、ほとんどの先進国の成長に限界が見え始めた現在では、株主や投資家にとってより重要なのは会社全体の「企業価値」となりました。いつ企業が倒産してもおかしくない時代となった昨今では、単年度の利益よりも長期的な企業の存続力や成長力を見ることでリスクを回避しようとする考え方に変わってきたということです。

そのためIFRSでは企業価値を開示することを目的としている「資産負債アプローチ」を採用しているのです。IFRSだけではなく日本やアメリカでも「資産負債アプローチ」に移行する動きは大きくなっています。

貸借対照表重視と損益計算書重視の違いは世界のトレンドにあった

今回は日本の会計基準「収益費用アプローチ」とIFRSの「資産負債アプローチ」の違いについてご紹介しました。この2つは厳密に分かれているわけではなく、日本でも移行期にあるということでIFRSの適用とは別としてもこれから全世界的に「資産負債アプローチ」を採用するという流れになるでしょう。時代による考え方の違いなので、もし万が一将来世界的に成長経済となることがあれば再び「収益費用アプローチ」が流行るかもしれません。

次回は公正価値評価と取得原価価値評価の違いについて見ていきたいと思います。

前回の記事:国際会計基準IFRSと日本会計基準の違いとは?①