課長1年生!これで怖くない!予実管理の基礎知識①

課長1年生!これで怖くない!予実管理の基礎知識①
ある日突然、待ちに待った課長昇進!上司である部長とはもちろん、経営企画担当者や、本部長、執行役員といった経営層との会議において、初めて耳にする用語の数々。今までは上司から課された売り上げ目標達成のために数字を追いかけてきたが、課長になった今では、部下の数字の管理、人材育成を行わなくてはならない、会議では耳慣れない用語で理解するために必死!心の中では「今さら用語の意味なんて聞けない!」と思うことが多いのではないでしょうか?

そこで本稿では、今さら聞けない予実(予算)管理の基礎知識についてご紹介していきます。

1)予実管理とは

経営企画室、経営戦略室から予実管理表の提出を求められたが、「予実管理」という言葉を初めて耳にしてどの様なものなのか分からず、関連書を読み言葉で理解したが活用方法の想像が出来ず混乱してしまうこともあるかと思います。

予実の意味を調べてみました。辞書から引用します。(大辞林 第三版から引用)
予実とは、「予定」と「実績」。経営・会計・プロジェクト管理などの分野で、当初の予定(計画・予算など)と実績を比較・分析する際に用いる語。「ー対比」「ー管理」

では、企業で使われている予実管理とはどのような意味なのでしょうか。
言葉の通り「予算」「実績」の管理を行うことを指します。
企業は、将来予測を行いながら事業を行うため、当初計画した予算と事業実績が計画通りに動いているのか確認を行います。しかし時に、なにかしらの予期せぬ外部要因によって当初の計画と予算実績にズレが生じた場合は、軌道修正を行います。そのため、中長期的な経営活動に予実管理は欠かせない業務なのです。

予算と聞くとどのようなものを想像されますか?もしかすると「予算=使えるお金」と理解されていませんか?
私の実体験を含めて予算の意味を詳しくご説明します。ある日上司とのやり取りで「予算達成に向けて順調?」と聞かれ、私の頭の中では、配当された予算金をあまり使わずに売上を上げているので問題ない。と判断し上司に概要説明を行いました。上司からは「予算=使えるお金と理解していない?」と心配の声が上がりました。その時は冷や汗をかき、心の中では、「まさか違う意味なのか?」と不安になりました。急いで調べてみると、予算には、「売上予算」「費用予算」「投資予算」などに分類され、企業が将来の経営計画に基づいて設定した具体的な目標を数字として表現したもの。と説明されていました。「予算=使えるお金」の意味では何一つ使われていません。今まで耳にしてきた予算は、「経費予算」でした。一般社員の間で耳にする「予算」は「経費予算」で、「販売費」「人件費」「営業費」など売上と関係ない費用のことです。実際、私は、予実管理について勉強をする前は、予算は使えるお金と理解していましたので「予算」と聞いても「使えるお金」ではないことを忘れないでください。

先ほど予算は「企業が将来の経営計画に基づいて設定した具体的な目標を数字として表現したもの。」とご説明しましたが、ノルマのような聞こえ「ノルマか~」と思うかもしれませんが、これはノルマでは無く、企業の経営活動に必要な数値です。

ここまでは「予実管理」の意味について説明でした。次は、実際に経営活動で起こりえるストーリーを交えて、「なぜ企業はなぜ管理職に予実管理を求めるのか。」についてご説明をしていきます。

2)予実管理が求められる理由

先ほど予実管理の意味と予実管理が企業にとって欠かせない業務であることをご説明してきましたが、なぜ予実管理が求められるのでしょうか?

予実管理を行うと企業にどのようなメリットがあるのか考えてみます。

例えば、営業部門内に「A課」「B課」「C課」があります。新しく設立されたA課の課長に昇進しました。全ての課が扱っている製品は違います。経営戦略会議で今期の予算と実績目標が決まり、目標達成に向けて売上を上げて行かなければなりません。しかし管理している課の中に、いくつか課題があります。部下4人は、みんなとても優秀な人材だが売上にバラつきがあり、新しく立ち上げられた課にも関わらず目標売上実績が予想以上に大きかった。もしかすると目標達成が難しいかもしれないため、なんとかしなくてはいけません。そこで課題解決のために部下達にノウハウを伝授します。しかし簡単に売上実績がすぐに作れるものではなく、経費だけがかさみ予算と実績に大きな溝ができ、結果、今期は赤字になってしました。ヒヤヒヤしますよね。

このような結果になるのは企業としても管理職の立場からしても未然に防ぎたいものですよね。
では、このような場合、企業はどのような対応を取るのでしょうか。

前半部分で説明しましたが、企業は将来予測を行いながら事業を行っているとありました。経営戦略室、経営企画室は、「予算」と「実績」が収集された情報表「予実管理表」を元に課題を見つけ出し軌道修正を行います。赤字にしないためにも問題が起きる前から事前に予算、実績の見直しを行っています。

予実管理を行うと、何かしらの問題が起きても現在抱えている経営活動の課題を可視化できるようになります。規模が小さい組織だと今までは肌感覚で目標を立て、予算、実績を設定し、なにか問題が起きても課題を見つけられるかもしれませんが、今回のように企業の規模が大きくなり新しく設立された部署や課が増えたり、事業が成長していくと抱えている課題を見つけることが難しくなることや、原因を追及するために無駄なコストが掛かってしまうこともあります。

また、赤字になった場合、迅速かつ的確な改善策が求められますが、どこに課題があるのかを把握しなければ、課題が曖昧なまま放置されてしまう可能性や、挽回するために時間を要する可能性が出てきます。

しかし予実管理で可視化されることにより、明確な経営活動計画を立てることができるようになります。また、企業によっては業績情報を開示しなければなりません。このうち、企業の将来にかかわる予測は、必要に応じて修正するため業績予測として、予実管理が求められます。

このような理由から、予実管理は企業にとって経営活動のために大事な役割を担っています。

予実管理は、健全で中長期的な企業経営活動を行うために必要な業務です。

今回は、「予実管理の意味」と「予実管理が求められる理由」についてご説明させていただきました。次回は、予実管理表についてご説明をしようと思います。

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